シドニー・トレインズ

シドニー・トレインズ、コードレスのテスト自動化とクラウドファースト戦略を採用

会社概要

オーストラリア ニュー·サウス·ウェールズ州交通局のシドニー·トレインズは、160年間にわたって、シドニーの住民に欠かせない輸送サービスを提供してきました。単なる通勤·通学の足としてだけでなく、年々大きくなる貨物輸送と旅客輸送の要求を満たす、安全、効率的、高費用効果の楽しめるサービスを作り出すことに注力しています。旅客数は2024年までに1時間あたり4万人に到達すると見込まれています。

「我々の目標は、皆様にサービスを提供し、皆様をその全行程で安全にお運びすることであり、サービスは道路、水路、鉄道に及びます。」と、シドニー·トレインズのデジタルプロダクト&アプリケーションのシニアマネージャ、Ernie Lam氏は言います。「我々はただ点から点への移動ではなく、運輸業務全体を見ています。お客様のご自宅から行きたい場所まで、そして極めて広いエリアでの移動を、可能な限りシームレスに行いたいのです。」

そのような目標の達成は、あらかじめされた構築されたシステムと社内のカスタムシステムの両方に依存しています。これらのアプリケーションは、お客様にシームレスな移動体験を約束するように設計され、シドニーで1日に行われる数百万の移動のための管理ツールと安全ツールを提供し、数千人の日々の移動を支えています。

技術スタックの既存のソフトウェアの保守に加えて、開発チームとテストチームは緊密に協働し、新しいアプリケーションと新機能のセットを1年を通してリリースしています。これらのアプリケーションの多くは、ニュー·サウス·ウェールズ州交通局のクラウドファースト戦略の一貫として、iPhoneiPadを含む1万以上のモバイルのiOSデバイスで稼働するように設計されています。

2018年以前は、これらのアプリケーションのテストは、プロジェクトチームが手動で完了させていました。しかし、アプリケーションとリリースの数が増えてきたため、チームには、よりスケーラブルなテスト方法を見つける必要がありました。これらのドメインエキスパートは、リリースされるコードの品質を保証するだけでなく、社員と顧客両方のアプリケーションの使用感を理解し、可能な限り最高のエクスペリエンスを確保することが求められました。

重要なアプリケーションのために計画された特定の機能セットは、必要とされるだけでなく、ときには特定のリリース期間に契約上義務化されていることもありました。これは、チームが将来のスプリントを綿密に計画するときに、提供の速さが今まで以上に重要であることを意味しました。「手動テストを行い続けることは持続可能ではありませんでした。主要なポイントは、各コードリリースの最初から最後まで品質を維持することでした。これをスピード感を持って達成する、テスト自動化を導入して、品質を向上させる必要がありました。」とErnie氏は言います。

ソリューション: コードレスなテスト自動化

テストをより迅速に進めるためのツールを決定するとき、リーダーたちは、プロジェクトのテストチームが、彼らの特定のニーズに対して最適なソリューションを求めることを許可しました。POC(概念実証)のための重要な基準は、ツールを素早く習得できることでした。Tricentis(トライセンティス)が提供するTricentis Toscaは、コードレスのテスト自動化で、スクリプトの知識なしでもすぐに習得できることから、早々に優位な候補になりました。

「もしツールの学習に1年もかかっていたら、その時間と努力には見合わなかったでしょう」とLam氏は言います。チームのメンバーが、ツールのトライアル版をダウンロードし、オンラインのTricentis Academyのプログラムを利用して、テスト自動化の方法を学びました。チームはToscaについて、ウェブとモバイルのテストの両方と、テストの必要性の増加に合わせてスケールできるかどうかを評価しました。トライアルがすぐにいくつかの成功を残したあと、Toscaがテスト自動化ソリューションとして選択されました。

それ以降、20人以上のドメインエキスパートがIT部門内でToscaを利用して、テストを自動化する方法を学びました。標準として、学卒者、開発者、およびテスターにTricentisのオンライントレーニングの受講を義務付けているチームもあります。トレーニングは、初心者がすぐにテスト自動化をはじめるにあたり、必要な知識を提供するものになっています。

「我々はアジャイルの原則を信じているため、継続的学習は継続的統合や継続的開発と同じくらい重要です。自分自身に投資しなければ、取り残されてしまいます。」とErnie氏は言います。

課題

  • 手動テストがデリバリーのスピードを阻害
  • 品質は各リリースの最後に対処
  • 小規模なテストチームが大規模なテスト要件をカバー
  • 顧客の価値認識と品質が最重要の指標
  • 組織内にテスト自動化の経験が少ない
  • テスト自動化に関連する技術的な負債を制限する必要がある
  • 複数の新しい内部及び外部向けアプリケーションが稼働開始間近

「クラウドファースト戦略により、我々は変化に対応し、イノベーションを加速することができます。テストの観点からは、従来のアプローチより遥かに迅速に、Toscaの環境をセットアップし使い始めることができました。これは結果的に、品質保証の価値をより早期に浸透できることを意味します。」

モバイルとクラウドの新しいソフトウェアリリース

シドニー·トレインズがテスト自動化の取り組みを開始したとき、クラウドアプリケーションが将来のアプリケーションの開発とテストにどのような影響を与えるかについての予見をすでに持っていました。2010年代初頭、チームはデータセンターにあるオンプレミスソリューションから、AWSによるクラウドファーストの考え方への移行をすでに始めていました。Toscaはこれらのアプリケーションの将来において重要な役割を果たすことになるため、チームは従来型のSQLデータベースを、iOSデバイスとクラウドで展開できるようにエコシステムの設計に取り組みました。

既存システムアップデートのメンテナンスに加え、チームは新しいクラウドアプリケーションのテストにも一貫して取り組んでいます。

例えば、チームは現在、乗務員向けの重要な社内セルフサービスポータルの展開に取り組んでおり、乗務員が手作業と書類を組み合わせたプロセスで実施していた複数の業務が、1カ所で実施できるようになります。社員は、この新しいポータル上で、スケジュールの更新、勤務表の管理、安全に関する重要な文書の参照、その他の日常業務を行うことで時間を節約し、乗客への価値提供に集中できるようになります。また、乗務員のデジタルリテラシー向上にもなります。

今日、開発者は、コードがチェックインされるたびに、CI/CDパイプライン内で自動テストスイートを実行できます。Toscaのテストスイートを実行することは、すべてのコードの完了基準になっています。テスト結果がNGの場合は、開発者はすばやくコードの欠陥を見つけ出し、対処します。このプロセスにより、テストのスピードとリリース品質の両方が向上しています。

その後、テストはプロジェクトのドメインエキスパートに引き渡され、完全なリグレッションステストが実行され、そして新機能のための新しいテストケースが生成されます。テスト自動化の優先順位は、リスクベースの評価とリグレッションテストに要する時間の組み合わせで決定されます。これによりチームは、最も重要で時間がかかるテストが、将来のために自動化されることを保証できます。

このことは、新機能が展開される際に特に重要となります。新しいコードがリリースされても、以前の機能に影響がないことが確認する必要があるからです。Toscaは、メンテナンス中の重要なアプリケーションのテストを迅速に行うことにも役立っています。その一例がSafeCommです。これは安全上重要な連絡(safety critical communication: SCC)のためのウェブアプリケーションで、シドニー·トレインズが定めた規格に準拠した音声通信の技術的及び動作の完了をサポートするために設計されています。このシステムでは、ドメインエキスパートが、相当数の回答の組み合わせでフォームに記入して、そのすべてをテストする必要があります。以前は、各リリース前のUIテストに90分以上かかっていました。Toscaによってテスト自動化を実装した後は、このプロセスは3分の1の時間で完了できています。

成果

  • 新任のドメインエキスパートが、Tricentis Academyのオンラインプログラムの支援を受け、標準化されたトレーニングプロセスでテスト自動化のスキルを習得
  • エンドユーザー向けアプリケーションの入力フォームのテスト実行時間を66%削減
  • アプリケーションのリグレッションテストを100%自動化
  • CI/CDパイプラインと完全に統合し、開発者が新しいコードをチェックインするとすぐにテストを実行開始
  • 各リリースの品質の信頼性向上